東日本大震災の発生以降、様々な自然エネルギーが注目されています。 一方で、大型風車が主流の風力発電は、台風などの強風に耐える強度が求められるため、複雑で丈夫な構造が必要となることから多大なコストを要し、なかなか普及していません。 そのような従来の風車の欠点を解消し、エネルギー問題解決の可能性を秘めているのが「マイクロ・エコ風車」なのです。

マイクロ流体技術研究所


日本飛行機(株)で、「ボーイング777ジャンボ機」の製造や「はやぶさ」の開発などに携わる。NBUでは、2005年文部科学省補助事業「昆虫型超小型飛翔ロボットの研究・開発」に参画。2010年「自然に学ぶネイチャー・テクノロジーとライフスタイル展(国立科学博物館)」にて研究成果を発表。マイクロ・エコ風車をはじめ様々な研究成果は、NHKなど多数のメディアで取り上げられ、国内外から注目を集めている。近年は、行政や企業などの講演会において、新しい“ものづくり”を提案している。

日本国内の多くは、平均風速2~3メートル。通常の風力発電は風速3メートル以上でないと回転しないため、太陽光発電などの自然エネルギーに比べると、風力発電の普及はまだ進んでいません。しかし、「マイクロ・エコ風車」は、そよ風のような微風から、台風並みの強風まで色々な風の種類に対応して発電することができます。その上、素材もペットボトルと同じ薄いプラスチックを使用しているため、生産コストも大幅に削減可能です。現時点では、風速5メートルの場合で4~5ワットを出力し、スマートフォンの充電なら十分にカバーできる性能を有しています。

マイクロ・エコ風車は特殊な材料や高価な設備は必要がないため、最先端の研究・開発プロジェクトにも学生たちは自由に参加することができます。日本が直面しているエネルギー問題という大きなテーマに、大学1年生から大学院生までの約10名が、過去の研究成果をさらに改良するため、試行錯誤を重ねながら、目的を持って意欲的に取り組んでいます。マイクロ・エコ風車のブレードの素材は、もともとはケント紙。それを学生たちのアイデアと地道な実験の結果、現在は防水性や軽量化、さらには製作時間・コストを削減できるプラスチック素材のブレードへと進化させました。

自然エネルギーとして、大きな注目をあびる風力発電。多くの技術者の努力で、大型風力発電機の性能は向上していますが、頑丈な構造が必要 となるため、多額の費用がかかる問題がありました。「もっと低コストで、しかも強弱、様々な方向から吹く風に対応できる新しい風車はできないか」。その思いから、マイクロ・エコ風車の開発が始まったのです。
マイクロ・エコ風車が誕生したその第一歩目は、トンボの飛行メカニズムの解明でした。そのために、小さな物体の周りのゆっくりとした空気の流れを見ることができる世界唯一の回流式可視化水槽を開発。実験を繰り返す中で、トンボのハネにある表面の凸凹周りにできる小さな渦のメカニズムを見つけたのです。微風でも回転し、かつ台風並みの強風でも壊れない新しい風車のヒントが、そこにはありました。
さらに研究を進めると、トンボのハネが低速では高性能に、高速では低性能になることを発見。これは、航空機用の翼型と全く逆の性質で、高速では使えないけれども、低速では高性能を発揮する特性があったのです。こうしてたどり着いたのが、風力発電機のブレードへの応用でした。
さらにトンボのハネは、メカ的な装置をつけなくても、強風に耐えられる仕組みを持っていました。何度も実験を繰り返しているうちに、ケント紙1枚でつくった風車でも台風に耐えられ、秒速30センチメートル程度の微風でも回転するようになったのです。つまり、安全、軽量、安価、低周波が発生しない、微風でも回る、紙製でも台風に耐えるなど、従来風車が持っていた弱点を克服した風車が生まれた瞬間でした。
さらにトンボのハネは、メカ的な装置をつけなくても、強風に耐えられる仕組みを持っていました。何度も実験を繰り返しているうちに、ケント紙1枚でつくった風車でも台風に耐えられ、秒速30センチメートル程度の微風でも回転するようになったのです。つまり、安全、軽量、安価、低周波が発生しない、微風でも回る、紙製でも台風に耐えるなど、従来風車が持っていた弱点を克服した風車が生まれた瞬間でした。

自然界には、ものづくりのヒントとなる優れた機能を持つ生物がたくさん存在しています。それらの生物的機能特性を工学的に実現した機器を研究・開発し、環境に配慮した快適で便利な生活の創出へと役立てようとする新しい研究・開発を「生物機能トランスファー技術」と呼んでいます。マイクロ・エコ風車は、トンボのハネの特性を解明した上で、航空工学の知見も加え、新しい発想で取り組んだ「生物機能トランスファー技術」の研究・開発の成果です。

トンボの中でも羽ばたきではなく、風や空気の流れを巧みに利用して飛翔する種類をモデルに“ハネの特性”に着目した非羽ばたき型飛翔ロボットの研究・開発も行っています。

小幡研究室が開発した世界唯一の流線可視化装置です。空気の流れを目で確認できます。

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