日本文理大学

歌人・田中章義氏の講義を開催 その

(2012/12/13)

  2日目となる11日(火)は教養基礎科目「ヒューマンアート」で『日本人の自然観と色感』のテーマで講演が行われました。田中氏から本題に入る前に今、緑が世界中でどれ位のペースで失われているか。質問がありました。

    

 実は1秒間でサッカー場1枚分のペースで緑が消えていて、しかも世界全体の木材の1/4、年によっては1/5が日本に集積されていたのです!田中氏は、ケニアの専門家からこの実態を聞くに及んで、地球版奥の細道を模索しながら、多くの人にそれらの事実を訴えられつつ、日本人が大切にしてきた自然観を再度見直し、問題の解決に寄与するよう働きかけておられます。これらのことを前提に、日本人と自然との関わりを豊富な色見本を確認しながら本題へと入っていきました。

                           

 スクリーンに千年から千五百年位の間に、先人たちが名づけてきた色の名称が紹介され、黄色だけでも色彩ごとに植物や四季折々の季節感等から非常に多くの名称が付けられており、いかに私たち日本人が自然と調和し生を営んできたのかを実感することができました。

 続いてキャンパス内で見かける、身近な銀杏の葉から、どんな色の名称がつけられるのかの試みが行われ。「秋の帰り道にみつけた葉の色」、「たくあん色」、「晴れた日の夜の月色」等各人夫々の受けた感じから名前がつけられていきました。田中先生から日本人が感性として大切に受け継いできた豊富な色の名称と微妙な色の違いを識別できる能力は世界の中でも類まれであって、私たちの強みでもある。日本人が自然をどんな色で表現していたのか、名称を考えるだけでも皆さんの感性を刺激し、心を豊にすることに繋がる。大分には沢山の自然、色彩があり、驚いている。この恵まれた自然環境を生かし、感性豊かな社会人になってほしいとの思いが伝えられました。

 午後からは、NBU大分美容専門学校へ移動。美容総合科、芸術科、ネイル・メイク・エステ科の生徒たちを対象に、「日本人の感性〜1400年の美意識〜」と題して、講演が行われました。

               

 田中氏は開口一番、NBU大分美容専門学校生たちの明るい雰囲気にほだされ、ご自身がテレビ番組に出演される時、ヘアメイクの人たちから受けるあたたかい心くばり、気配りのことを話されました。「皆さんも、今の明るさを忘れずに、美容技術を磨くと同時に、お客さんたちがほっとできるような環境、気遣い、心遣いができればサロンだけではなく、様々な業界で美容師が求められているので、活躍の場が広がる。そのような美容師を目指して欲しい。」と励ましのお言葉がありました。

 田中氏が地球版奥の細道を完成させるべく、世界中の国々を訪れた際、特にヨーロッパ、アメリカ等のトップクリエーターたちから指摘されたこと、そのひとつが1400年前に纏められた万葉集以来培われてきた「日本人の感性」に学べということでした。私たちはとかく、西洋の流行に目をむけ、ひたすらそれらを追いかけがちですが、実はその西洋の美の創造者、文化の推進者といわれる人たちからは、逆に私たちの足元から見直すことを促されていたのです。午前中の講義と同じく色を取り上げ、自然から様々なバリエーションに富む色を作り上げていた先人たちの営みにもう一度光を当てて、見直すことの必要性を、着物、木版画、等の美術工芸品を例に上げ紹介がありました。

               

 最後にとりごえまり氏との共著「野いちごの宝物」が紹介され、「世界から見れば私たちが住んでいる日本、足元に宝物はたくさんあり、私たちはそれを見直す時にきている。大分に来て、とても色彩が豊なところだと驚いている。どうかその恵まれた環境の中から自然の良さを沢山見つけ、日本人としての感性を磨いていってもらいたい。感性を高め、表現力のある美容師となって活躍されることを願っています。」とにこやかに語られ、講義を終えました。

 2日間に渡り、田中氏がNBU学生、留学生、専門学校生たちに伝えたかったこと。それは、自らの足元にある日本の自然の豊かさを、もう一度見つめなおし、短歌や絵本、日本の伝統文化に触れながら感性を育み、地域をはじめ世界の人々にまで思いを馳せ、どんな小さなことからでも自らできることを行動に移して行こうとする意識を持つ人になって欲しいということだと思います。

 NBU大分美容専門学校についてはコチラhttp://www.nbu.ac.jp/biyou/をご覧下さい。

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