日本文理大学

【大学院】次世代社会インフラ用ロボット開発

(2016/04/12)

 平成27年度国土交通省が公募した「次世代社会インフラ用ロボット」現場検証対象技術に、採択を受けた日本文理大学工学部 稲川研究室を含む研究チームの「小型フレーム構造ROVを用いた水中維持管理技術」が昨年末に実証実験を終了し、今年3月末に評価結果が公表され、高い評価を受けました。実験機の制作には、本学大学院生が大きく関わっており、更には4月から本学で学ぶ、社会人大学院生が携わった「マルチコプターによる橋梁検査の損傷報告書サポートシステム」実証実験も高評価を得ており、水中と空からの研究が本格的にスタートすることになりました。

                                 

↑写真左:手前から水中観測機(ROV)、モニター、操作用のジョイスティック。これらの機材が実験機の基礎となった。写真右:京都府・天ヶ瀬ダムにて現場検証が行われました。(国交省報道発表資料より引用)

 高度経済成長時代につくられたダムなどの建造物の多くが経年劣化で不具合が生じ、点検及び整備の必要性が高まっています。特に、道路や河川などの老朽化の進行や自然災害のリスクが高まる中で、国家プロジェクトとして、社会インフラの維持管理および災害対応に関係するロボット技術の開発や導入が進められています。

 平成27年の「次世代社会インフラ用ロボット」の公募では、建設業をはじめとする大手企業や産学連携で開発された技術を「橋梁」「トンネル」「水中」に分野分けし、現場で適応できる可能性を探る検証実験が実施され、実用化に向けて評価されました。

 日本文理大学は、北九州市立大学、長崎大学、ニッスイマリン工業株式会社とこれまでに共同開発した「小型フレーム構造ROV」をさらに発展させた新型機として「水中維持管理部門」に応募し、昨年7月に現場検証対象技術の採択を受け、ダム現場での検証の結果、“要改良事項が解決されれば活用が維持できる”という高い評価を受けました。改善の余地が残されていますが、多方面から高い評価をいただいています。

                                            

↑このROV制御のプログラムにおいて、本学大学院工学研究科の稲川准教授の指導の下で、大学院工学研究科・環境情報専攻の平居宏康さん(右)が貢献しました。平居さんは、実際のダムでの現場検証でもROV操作を担当するなど目覚しく活躍。大学院を修了した後も、なお一層の産学連携研究活動への期待が寄せられています。

 参考:大分県は、瀬戸内に面しており、造船が盛んな県です。漁船だけでなく、海外からの客船や自衛艦が入港できる大きな港があります。大学の近くには、国際港である大在埠頭がありますが、港湾の老朽化が今後懸念されており、大分県土木事務所のご協力を得て、岸壁の写真を水中ロボットで撮影するなど、社会貢献活動にも参画しています。これらの技術を競う大会は、毎年、沖縄県の海で開催され、NBUが開発した小型フレームROVは最優秀の実績があります。波のしぶきや流れに大きく影響される海での実証実験も行われており、機能的にも優れています。何度も実験し、改善されることにより、漸く、現場で活用できる優れものができるのです。

 また、「橋梁分野」においては、橋の劣化を点検できるシステムの開発に、4月から入学した本学大学院工学研究科 航空電子機械工学専攻の泉保則さん(夢想科学株式会社代表取締役)が応募しました。現在、橋の検査やトンネルの検査は、検査員が直接現場に赴き、目視検査による調査を行っている現状です。危険を伴う環境下で写真撮影をし、事務所に戻り、報告書を作成し、関係省庁に提出する流れになっているようですが、検査員の危険性を少しでも軽減したいと「ドローンと3Dによる画像解析の融合技術」が現場に適応できないかと考え、システムの開発を目指したそうです。技術を組み合わせることで、作業の安全性と効率性に対応できると考えましたが、これも“課題の解決を前提に、試行的導入に向けた検証を推奨する”との評価を受けました。

 

 

 ↑泉さん(写真上)は、企業の社長さんですが、製造現場で高い工学技術を修得していたにも関わらず、技術を裏付ける体系だった理論で説明出来ないことに限界を感じ、今年度、大学院で学びたいと「社会人入学」されました。「次世代社会インフラロボット」の結果は、2件とも実用化に向けて着々と発展している段階でありますが、なお一層、人の暮らしの安全と安心を守る技術開発に挑戦していきたいと考えています。

 自然災害やトンネル崩落などの事故等危険な場所での調査や、省力化を目指したロボットの技術開発は進歩しています。日本文理大学・工学部では、教育・研究・社会貢献活動の方向性として、ロボットの技術開発は欠かせないものだと考えています。1年生から始まる工学部共通の授業である「ロボットプロジェクト」をはじめとする幅広い専門科目で学んだ知識や技術は、プロジェクト(例えばカンサットやドローン、サッカーロボット等)に応用され、さらに創意工夫を重ねることで発展し、エンジニアとしての夢も大きく膨らんでくるものと確信しています。「NBUものづくり魂コンテスト」という学内コンテストも年々活性化され、未来を創る学生の夢の実現を応援しています。

  

↑工学部ではモノづくりの様々なプロジェクトが進行している。サッカーロボット(左)と宇宙エレベーター試作機(右)

 

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