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シラバス情報
平成24年度
工学部航空宇宙工学科
詳細
シラバス情報
注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「
UNIVERSAL PASSPORT
」で詳細をご確認下さい。
科目名
宇宙航行力学(Spacecraft Mechanics)
担当教員名
河邉 博康
配当学年
3
開講期
後期
必修・選択区分
航空宇宙設計コース 選択
航空機整備コース 選択
航空宇宙システムコース 選択
単位数
2
履修上の注意または履修条件
力学要論を履修しておくことが望ましい。
受講心得
力学、ベクトル演算、微分積分をよく復習しておくこと。
プリント授業を行うので、プリントを必ず持参すること。
講義を受ける前に、プリントを読んでおくことが望ましい。
教科書
プリント
参考文献及び指定図書
前田弘著「飛行力学」(養賢堂)
津義定著「宇宙航行力学」(共立出版)
関連科目
力学要論、宇宙システム工学1、宇宙システム工学2
オフィスアワー
授業の目的
この講義は、人工衛星をはじめとする宇宙飛行体の航行に関する力学を講述するもので、飛行体を質点として取り扱う軌道運動の理論を理解し、惑星間飛行に関する近似計算ができるようになることを目標とします。
授業の概要
飛行体の運動について地表面近傍から始まり、惑星間飛行に至るまで 微分積分や力学、ベクトルを使って詳細に軌道計算法を導出します。
授業計画
学習内容
学習課題(予習・復習)
○第1回 地表付近における投射体の運動(1)
飛行力学の基礎的で簡単な問題は、質点として取り扱うことのできる物体が、与えられた初速度である方向に投げ出される場合、すなわち投射体の運動です。空気力の影響は無視し、重力の作用のみを考慮した場合について、投射体の到達する最高点の座標、到達距離、飛行時間について導出します。
○第2回 地表付近における投射体の運動(2)
投射体の運動中に、投射体に働く空気力が無視できる場合は、地上付近においては実際上極めて少ないです。そこで、重力の他に空気力が働く場合を考え、投射体の運動方程式を導出します。運動方程式を数値積分した結果として、ゴルフボールの軌道が空気力を考慮しない場合と考慮する場合でどのように変わるのか解説します。
○第3回 地球の回転の影響(1)
これまでの計算では、地表は動かない平面であると考えていましたが、地球の表面およびそこに固定された座標系は、地球の自転および公転のために慣性空間内において加速度運動を行っています。ここでは、公転の影響は無視し、地球中心の慣性座標系と地球表面の運動座標系の定義をします。
○第4回 地球の回転の影響(2)
地球とともに運動する地球表面の運動座標系上の投射体について、慣性座標系に対する加速度を導出します。この中には、コリオリの加速度も含まれています。この加速度から、投射体に働く力として、遠心力、コリオリ力などを説明します。
○第5回 地球の回転の影響(3)
地球の自転の影響を考慮した地表面での投射体の運動について、飛行時間、飛行距離、コリオリ力による到達位置のずれを導出します。具体的な投射体の運動について例題をとりあげ、コリオリ力によってどの程度、到達位置がずれるのか解説します。
○第6回 中心力の場における飛行体の運動(1)
ロケットによる人工衛星の打ち上げのように、投射体の初速度が大きく、高高度飛行を行うような場合には、重力の加速度は一定ではなく、重力による力は地球の中心からの距離の2乗に反比例する力として取り扱います。投射体の軌道方程式を導出します。
○第7回 中心力の場における飛行体の運動(2)と人工衛星
投射体の軌道方程式から、投射体の軌道が円、楕円、放物線、双曲線を描く場合について説明します。ケプラーの法則について説明し、面積速度の関係から軌道周期を導出します。円軌道または楕円軌道が地球の表面と交わることなく地球のまわりを周回するとき、飛行体は人工衛星となります。人工衛星の軌道速度、離心率などを導出し、第1宇宙速度、第2宇宙速度、静止衛星などについて解説します。
○第8回 弾道軌道、軌道移行、ランデブー
地球の表面の1点から発射された質点が他点に落ちる弾道飛行は、近似的には中心力による楕円軌道の一部として取り扱うことができることを説明します。飛行体が与えられた軌道から他の軌道へ移ることを軌道移行といいます。その例として、軌道移行に要するエネルギーが最小の軌道として知られているホーマン移行軌道について説明します。異なった軌道上を飛行する2個の飛行体が、軌道上の一点に同時に到達し、速度の大きさと方向が等しくなるランデブーについて説明します。
○第9回 人工衛星の軌道要素および摂動、打ち上げロケットの加速性能
人工衛星の軌道は、6つの軌道要素がわかれば軌道の大きさや形、ある時刻での人工衛星の位置や速度も計算できます。これら6つの軌道要素について概説します。ロケットは内部に持っている推進剤の燃焼によって発生したガスを後方へ噴出し、その反動で前進します。従ってロケットの質量は時間と共に変化します。このようなロケットの質量変化を考慮に入れた、垂直上昇するロケットの運動方程式を導出します。
○第10回 単段ロケットと多段ロケットの加速性能
人工衛星を打ち上げるためには、ロケットによって第1宇宙速度を、地球の重力圏から離れ去る宇宙飛行体を実現するためには、第2宇宙速度を人工衛星に与える必要があります。単段ロケットでは、第1宇宙速度が得られないことを説明し、多段ロケットによって第1、第2宇宙速度が得られることを説明します。
○第11回 多体運動、双曲線軌道
飛行体の運動は太陽、月、地球などの複数の天体の影響を受ける多体問題ですが、近似的にもっとも影響を受ける天体との2体問題として考えられます。飛行体が目標の天体へ行くまでの間に、もっとも影響を受ける天体を次々にきりかえる円錐曲線つぎ合わせ法について概説します。飛行体が天体近傍に進入し離脱するときの軌道である双曲線軌道を説明し、惑星引力の作用によって軌道変更を行うスイングバイについて解説します。
○第12回 惑星補足、惑星間飛行
科学的探査の目的のためには、飛行体を目標惑星のまわりの周回軌道に入れたい場合が多くあります。飛行体を双曲線進入軌道から惑星のまわりの円軌道に入れる方法について説明します。惑星間飛行の具体例として金星への飛行を取り上げ、地球のまわりの円軌道から金星に到達するまでの過程を、円錐曲線つぎ合せ法によって解説します。
○第13回 火星への飛行
金星への飛行と同様に、火星への飛行について円錐曲線つぎ合せ法によって解説します。
○第14回 月への飛行(1)
地球から月への飛行を行う場合に、まず考えられることは、地球をまわる楕円軌道が月の軌道まで届くようにし、飛行体が月の軌道を横切る際に月がその付近にいるタイミングにしておくと、飛行体は月に出会います。月の軌道に届く楕円軌道と近地点速度の関係について説明します。
○第15回 月への飛行(2)
地球から月への飛行軌道の近似計算のためのマイケルセン線図の書き方について説明します。具体例として、アポロ宇宙船の地球出発から月着陸を経て地球へ着水するまでの手順を解説します。これまでの授業内容について、質問を受け付けます。また、重要事項について再度解説を行います。
○第16回 期末試験
験時間80分、ノート、プリント、関数電卓の持ち込み可。
プリントの内容をよく理解しておくこと。
特に課題はありません。
毎回、配布プリントを事前に読んでから授業に出席すること。
授業中に導出された式を自分でも導出して復習すること。
授業の運営方法
プリント授業を行います。
備考
学生が達成すべき到達目標
地球の自転を考慮した飛行体の運動を理解し、到達点を計算できようになること。
楕円軌道を理解し、人工衛星の軌道を計算できるようになること。
円錐曲線を応用して、宇宙船の惑星間移行軌道を計算できるようになること。
評価方法
評価の割合
評価の実施方法と注意点
試験
95
宇宙船の軌道計算法を理解できているか、正確に数値計算ができているかを評価します。
小テスト
レポート
成果発表
作品
その他
5
合計
100
―