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お知らせ

【卒業生の皆さまへ】総長からのメッセージ

 

 皆さんもご存じのことと思いますが、世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっております。誰もが予想しえなかったこの状況を収束させるために、世界中の一人一人が立ち上がっております。そのような状況を受け、皆さんの大切な卒業式が挙行できなかったことは、文理学園の教職員一同、慙愧に堪えません。また、卒業生の皆さんや保護者の皆様の気持ちを思うと言葉もありません。
 卒業式の挙行は叶いませんでしたが、文理学園の教職員を代表して卒業生の皆さんへお祝いのメッセージを送りたいと思います。
 今、私達人類は未知のモノによって引き起こされている社会混乱の中に立たされています。そのただなかにあって私は一つの言葉を思い出しました。それは「VUCAの時代」という言葉です。このVUCAはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を組み合わせた言葉です。確かに現代社会をよく言い表していると感心します。しかし、この言葉を深く考えると、見通しの立たない未来に大きな不安を覚えざるを得ません。この「VUCAの時代」に我々は手をこまねくばかりなのでしょうか。
 そのようなことに思いを馳せ、新型ウイルスの脅威を示す報道を見ておりますと、微かではありますが希望が持てる幾つかのニュースを見ることができました。それは、お互いを思いやる気持ちを大切にし、国境を越えて相互支援をしている民間NGOの取り組みでした。自分の国という単位を越えて行われるその行為には、国と国ではなく人と人のつながりというなくしてはならない大切なものがあると私は思います。また、国内各地では学校の臨時休業に伴う子どもたちの居場所の確保先として、子ども食堂や学童保育などの取り組み強化が市民の手によって行われています。あわせて各企業もさまざまな支援を打ち出し、それをさらに強化しています。この見通しが立たない不安を乗り越えるきっかけになるのは、間違いなくこのような一人一人のglobalな活動でありlocalな活動です。
皆さんはこの学び舎で地域社会の方々と関わる機会が多くあったと思います。その方々の顔を思い出してみてください。彼らが皆さんの学びにお付き合いくださったのは、暇を持て余していたからではありません。皆さん一人一人の可能性のために、そして、社会の未来のために貴重な時間を割いてくださっていたのです。これもまた不安を乗り越えるためのglobalな活動でありlocalな活動です。
学生時代にそのような経験をした卒業生の皆さんは、今後その活動の主体者として活躍してください。自分以外の人々に目を向けてください。多くの人々のためにその実力を発揮してください。そのために皆さんはこの学び舎で研鑽を積み、「人間力」を育んできたのです。
時には困難なこともあろうかと思います。そのようなときに頼りになるのは誇りだと聞いたことがあります。皆さんの誇りは、先生方や学友や地域社会の方々と共に学んだという事実と育んだ「人間力」です。自信を持ってさまざまなことに挑んでください。そして、時にはこのキャンパスに顔を出してください。それが互いの励みになり、明るい未来を創る一歩であると私は信じています。
これから社会で活躍される皆さんは我々教職員の誇りです。これからも共に多くの困難を乗り越えていきましょう。
最後に、改めて心よりお祝いを申し上げます。

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとう。

令和二年三月吉日
                                学校法人 文理学園
                             総長 理事長  菅 貞淑