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世界最深記録(6200m)を持つ寄生虫(ソコダラシンカイ吸虫)が1000mの深海魚にも存在~地球温暖化の影響か?

 

 人や動物の表面や体内にとりつき(寄生)食物をせしめる生物を、「寄生虫」といいます。寄生虫は宿主に害を及ぼす場合があり、これによって感染症がみられることから、臨床検査技師が取り扱う血液や便から検出され、診断・治療に応用される場合があります。
 昨今、日本では寄生虫を原因とする感染症は非常に少なくなってきたのですが、アニキサスに代表されるように、他の動物に由来する寄生虫による感染症が増えてきました。
 その要因として考えられるのは、生の食品、輸入食品・自然食品の摂取、海外旅行の増加、ペットブーム等です。また、地球温暖化による環境の変化により、自然界での寄生虫の生息にも影響が現れており、海に住む寄生虫もその例外ではありません。
 本学の保健医療学部の熊谷貴准教授らが、1000mの深海に住むオニヒゲ(ソコダラ科)から吸虫を発見し、過去に6200mの深海で発見されたソコダラシンカイ吸虫の同種と特定しました。地球温暖化による海の環境変化で、魚類や鯨類などの分布に大きな影響を与えていますが、同様に、寄生虫の生息にも影響がみられてきたものではないかと考えています。
 ※研究成果は、2024年5月9日「Journal of Helminthology ISSN: 0022-149X(Print), 1475-2697(Online)」に掲載されていますので、興味のある方は、ご一読ください。


オニヒゲ、ソコダラシンカイ吸虫の成虫 写真
詳しくはこちら https://doi.org/10.1017/S0022149X24000269