診療放射線技師は、医師の指示のもと、X線撮影装置やCT・MRIといった画像診断装置を用いて、人体内部の様子を撮影し、病気の診断や治療に必要な画像を提供する医療技術者です。さらに、がん治療や予防医療などにも関わるため、高度な知識と技術が求められ、現代医療の発展にも貢献しています。病院や診療所といった医療機関だけでなく、医療機器メーカーの研究開発部門など活躍の場が広がっています。
診療放射線技師の仕事はX線撮影による検査だけではありません。放射線によるがん治療などにも関わります。また、X線が透過しにくい骨に覆われた脳を撮影するときは、磁力を使ったMRIで撮影を行い、病変を見つけ出します。医療の高度化に対応し、検査から治療までに携わる、チーム医療の中で欠かすことのできない存在です。
人気俳優たちによってドラマ化、映画化されたことが記憶に新しい診療放射線技師の活躍を描いた漫画「ラジエーションハウス」。実在する診療放射線技師がモデルで、原作漫画では本学の教員も監修を担当しました。医療の最前線にいるプロによって生まれたリアルな描写が、多くの人に感動を与えています。
放射線が物質を透過する性質を利用し、患者さんの身体を傷つけずに体内を映し出します。「放射線=被ばくが心配」と感じる人が多いかもしれませんが、診療放射線技師が検査に使う放射線量は人体に影響がないレベルです。また、胸につけた計測器で被ばく量を常にチェックしており、安心して検査・治療にあたることができます。
今や、成人女性の約9人に1人が乳がんを発症するといわれ、マンモグラフィ検診のニーズが増加しています。乳がんを早期発見するために、従事する女性技師への期待はますます高まっています。子育てと仕事の両立が可能な求人も増え、ライフステージに対応した働き方が可能であることも魅力です。
診療放射線技師が、医療機器メーカーへ転職することがあります。彼らはアプリケーションスペシャリストと呼ばれ、豊富な知識に加え、医療現場におけるニーズを理解できることが強みです。さらに、放射線の特性を応用して、農業や工業、環境保全分野など幅広い分野で可能性が広がります。
幅広い教養を身につけるとともに、医療人として必要な基礎知識を学ぶ
人体の構造及び機能
放射線科学に必要な医学的基礎
保健医療福祉における放射線の科学及び技術
診療画像技術学・臨床画像学
キャリアデザイン
保健医療福祉における医学的知識と放射線科学の基礎及び技術について学ぶ
核医学検査技術学
放射線治療技術学
医療画像情報学
放射線安全管理学・医療安全管理学
画像診断装置の操作や安全に管理する知識および実践的な撮影技術について学ぶ
実践的な能力を身につける臨床実習
臨床実習・卒業研究を通して、実践的な医療機器の運用と医療産業人として活躍するための未来医療を考える
診療放射線学
3コース共通科目
診療放射線技師の基本業務である骨や胸腹部のX線撮影、乳房撮影などに必要な撮影技術を修得します。撮影の際に、患者の安全・安心を第一に考えたうえで、診断に適した画像を医師に提供するために、検査対象部位の解剖学的構造を理解し、X線画像からポジショニングの良否を判定できる力を養います。また、循環器・脈管系、脊髄・関節腔などのX線造影検査について、検査目的、造影部位の解剖、造影検査法、検査手技、X線画像解剖、主要疾患画像読影技術も学びます。
医療系の学問において、深く理解することが求められる重要な分野です。人体の構造や臓器の配置、機能を画像を用いて解剖学的に分析し、診断や治療に欠かせない情報を提供する能力を身につけます。さらに、X線CT、MRI、超音波検査などで得た画像に画像処理を施し、疾患の原因や進行状況、治療法の選択肢を判断するために欠かすことのできない画像診断技術も修得します。また、手術の成功率を高めるために利用する体内構造の3D画像作成技術や、治療計画作成技術も学びます。
放射線治療技術として、放射線治療計画、放射線治療装置への患者のセッティング、患者の固定、照射のための線量計算、位置確認用画像、治療用器具の取り扱い、治療前後の記録事項、線量測定、装置の品質保証・品質管理などを学修します。また、臨床で行われる各種悪性腫瘍に対する放射線治療に関して各論的に学び、放射線治療目的、治療計画、照射術式に関する専門知識・技術を修得します。高エネルギーX線、電子線による照射方法、陽子線・重粒子線治療についても臨床例を確認しながら、理解を深めます。
保健医療学部
保健医療学部パンフレット(デジタル版)