NBU日本文理大学

シラバス情報

注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「UNIVERSAL PASSPORT」で詳細をご確認下さい。

科目名 構造力学3(Structural Mechanics 3)
担当教員名 石田 孝一
配当学年 2 開講期 前期
必修・選択区分 全コース 選択 単位数 2
履修上の注意または履修条件  静定構造の理解が不可欠なので、構造力学1及び2を履修していることが望ましい。
受講心得  計算用具持参のこと。
教科書 最新建築構造設計入門  実教出版  和田 章監修
参考文献及び指定図書 建築構造力学演習 谷 資信他共著 (影国社)
関連科目 材料力学、構造力学1・2 建築材料実験 
オフィスアワー
授業の目的  構造力学は、建築構造に作用する外力によって、その構造に生ずる応力や変形を求めるための学問であり、構造設計のプロセスの中の応力計算は構造力学を理解していなければ不可能です。本講義は、構造力学1,2で学んだ静定構造を基礎として、不静定構造の解法を学び、構造設計の基礎を修得することを目的とします。
授業の概要 前半たわみ角法、後半に固定(モーメント)法を説明します。最後に静定トラスの応力解法を復習した後、不静定トラスの解法を説明します。
授業計画 学習内容 学習課題(予習・復習)
○第1回 概要説明
本講義で行う授業内容の概要を説明します。授業の進め方、評価の方法等を説明します。本講義は不静定構造を対象としますが、静定構造が基礎となっています。従って、静定構造の解法が理解できていないと不静定構造を理解することは不可能です。
最初に、建築で用いられる様々な構造形式を紹介します。次いで、支持力数、結合力数を説明し、不静定次数の求め方を講義します。不静定次数から安定構造と不安定構造を判別し、さらに、安定構造の中の静定構造と不静定構造を判別します。授業の内容について課題を出します。

○第2回 たわみ角法における用語・記号・符号、モールの定理
不静定構造の解法の一つであるたわみ角法における用語・記号・符号について説明します。たわみ角、回転角、節点角、部材角、材端モーメント等の語句の定義と符号の約束を説明します。特に材端モーメントと曲げモーメントとの相違点及び関係は重要です。
本授業では、モールの定理を用いてたわみ角法の基本式・実用式を導きます。ここではモールの定理について復習します。授業の内容について課題を出します。

○第3回 たわみ角法の基本式・実用式 荷重項 
モールの定理を用いて誘導したたわみ角法の基本式及び実用式を紹介します。公式をしっかり覚えることが大切です。
節点と節点の間に作用する荷重即ち中間荷重について説明し、中間荷重が材端モーメントに及ぼす影響について説明します。中間荷重による影響量は荷重項と呼ばれます。数種類の代表的な中間荷重による荷重項を求める公式を導きます。その他様々な中間荷重による荷重項の公式を紹介します。授業の内容について課題を出します。

○第4回 両端固定梁の解法
最も基本的な不静定構造である両端固定梁をたわみ角法で解く方法を説明します。両端固定梁の変形は、節点角はなし、部材角も存在せず、たわみ角法で解く場合、最も簡単な構造です。材端モーメントが求まった後は、静定構造として解くことになりますので、構造力学1、2を復習しておくことが大切です。
次いで、一端ピン他端固定梁の解法を説明します。
固定端では節点角は存在しませんが、ピン支持端では節点角が存在するので、節点におけるモーメントの釣合式(節点方程式)を導く必要があります。しかし、未知量が一つであるので、方程式は一本でよく、一元一次方程式を解くことになります。次に一端ピン他端固定梁の一般解を求めて、公式化を行います。通常用いる荷重項はCですが、この公式化の中では、Hとなることに留意する必要があります。連続梁を解く場合、この公式は有用です。授業の内容について課題を出します。

○第5回 剛度・剛比 連続梁の解法1
連続梁は部材数が2以上になりますので、剛比が関係します。剛比は断面2次モーメントから求めるので、断面2次モーメントの計算法を復習します。剛度、標準剛度を説明した後、材の断面寸法から断面2次モーメントを求め、更に、剛比を求める方法を説明します。次いで、たわみ角法の実用式を応用して、種々の連続梁の問題を演習します。授業の内容について課題を出します。

○第6回 対称性を有するラーメンの解法
今回から不静定ラーメンを対象とします。最初に最もシンプルな1層1スパンラーメンの解法を説明します。対称軸で切断される部材を対称変形材と呼びますが、その部材の取り扱いについて説明します。次いで、2層ラーメンの問題演習を行います。次いで、偶数スパンラーメンの解法を説明します。スパン数が2,4の場合、対称軸は中央の柱通り軸になります。対称性を有する場合、対称軸上の節点は右回りにも左回りにも回転しないことになり、固定支持とみなせます。対称軸上の節点を固定とみなし、1層、2層の偶数スパンラーメンの問題演習を行います。授業の内容について課題を出します。

○第7回 逆対称性を有するラーメンの解法
ラーメンが対称で、水平荷重を受けるとき、逆対称性を有するといいます。逆対称性を有する場合、対称軸に対して対称の位置にある節点の節点角は等しくなります。荷重が水平方向であるので、柱部材は部材角を生ずることになります。横方向の力の釣合方程式(せん力方程式、層方程式)を説明し、問題演習を行います。次いで、対象のラーメンが2スパン以上の場合や2層以上の場合について説明します。層数の数だけ部材角も存在するので、その分だけ未知量が増え、多元の連立方程式を解くことになります。問題演習を行い、授業の内容について課題を出します。

○第8回 中間の総復習
第1回授業から第7回授業の内容を総復習します。
授業の後半に問題の解説を行います。

○第9回 固定(モーメント)法1 固定端モーメント(FEM)、不釣合モーメント
固定(モーメント)法の基本原理を説明します。全ての節点を固定とみなしたときの材端モーメントを固定端モーメントといい、FEMと表わします。このFEMはたわみ角法における荷重項に相当するものであり、それを求める計算式を説明します。各節点においてFEMの合計が不釣合モーメントです。この不釣合モーメントの逆符号のモーメントをその節点に作用させれば一時的にモーメントの釣合が取れます。このモーメントを解放モーメントと呼びます。授業内容について課題を出します。

○第10回 固定(モーメント)法2 分割率、分割モーメント、到達モーメント 図上計算
解放モーメントはその節点に集まる材に分担されることになりますが、その分担の割合を分割率(DF)といいます。分割されたモーメントを分割モーメントと呼び、他端に流れる分割モーメントの1/2を、到達モーメントと呼びます。
例題を用いて、具体的に固定モーメント法の図上計算を説明します。ワークシートの作成法及び部材データを入れる箇所の約束事を説明します。最初に、DFを求めます。次いで、FEMを求め、その合計として、不釣合モーメントを計算します。分割モーメント、到達モーメントの能率的な計算手順を説明します。授業内容について課題を出します。

○第11回 固定法における他端ピン支持、対称変形材の取扱い 連続梁の解法
他端ピン支持の場合の対処法をたわみ角法基本式を用いて説明します。対称変形材の取扱いについてもたわみ角法基本式を用いて説明します。種々の構造を解く場合、荷重項と有効剛比について理解しておくことが重要です。最後に、特殊なケースについて、有効剛比と到達率を一覧表にまとめて説明します。
幾つかの演習問題で、連続梁の解法を行ないます。前半は、パターンの異なる連続梁2題を説明します。有効剛比を用いる場合の説明、その時の到達率の説明を行ないます。効率よく計算を進める手順を理解することが大切です。曲げモーメント図の描き方についても復習します。授業内容について課題を出します。

○第12回 対称性を有するラーメンの解法
対称性を有する奇数スパンラーメンの解法を、例題を用いて説明します。対称変形材の取扱いについて、具体的に説明します。効率よく計算を進める手順を理解することが大切です。曲げモーメント図の描き方についても復習します。次いで、対称性を有する偶数スパンラーメンの解法を、例題を用いて説明します。変形状態を説明し、対称軸上の節点の取扱いについて具体的に説明します。効率よく計算を進める手順を理解することが大切です。曲げモーメント図の描き方についても復習します。授業内容について課題を出します。

○第13回 水平荷重を受けるラーメンの解法
逆対称性を有するラーメンの解法を、例題を用いて説明します。変形状態を説明し、逆対称変形材の取扱いについて説明します。せん断力の釣り合いを理解します。授業内容について課題を出します。

○第14回 クレモナの図解法 静定トラスの応力と変形
最終的には、不静定トラスの応力を求めることが目的です。不静定トラスの応力を求めるためには静定トラスの変形量を求めることが必要であり、静定トラスの変形を求めるためには、静定トラスの全部材の応力を求める必要があります。そのための最も有効な計算法がクレモナの図解法です。ここでは、クレモナの図解法を復習します。仮想仕事の原理を説明し、仮想仕事の原理を用いた静定トラスの変形量を求める例題を説明します。外力による応力、仮想力による応力の求め方を説明します。仮想力は変形を求めたい節点に、求めたい方向に、単位の力をかけます。ワークシートを用いた効率良い計算手順を説明します。授業内容について課題を出します。

○第15回 不静定トラスの応力
静定基本形について説明します。不静定トラスには力の釣合条件式数以上の反力が存在しますが、その幾つかを取り除くと静定基本形が得られます。そして、取り除いた反力を余力といいます。余力=1と仮定して、変形量を求め、変形の釣合条件式から真の余力を求め、不静定トラスの応力を求めます。授業内容について課題を出します。

○第16回 期末試験
 計算が主体の試験になるので、試験時間は80分とします。
計算用具(電卓、ポケコン)は持込可です。
第1回
教科書p136~137,p47~49
資料配布
課題:演習問題1
予習60分  課題60分

第2回
教科書p139~140,p129
資料配布
課題:演習問題2
予習60分  課題60分

第3回
教科書p140~141
資料配布
課題:演習問題3
予習60分  課題60分

第4回
資料配布
課題:演習問題4
予習60分  課題60分

第5回
資料配布
課題:演習問題5
予習60分  課題60分

第6回
資料配布
課題:演習問題6
予習60分  課題60分

第7回
資料配布
課題:演習問題7
予習60分  課題60分

第8回
資料配布
課題:演習問題8
予習60分  課題60分

第9回
教科書p149
資料配布
課題:演習問題9
予習60分  課題60分

第10回
教科書p149~150
資料配布
課題:演習問題10
予習60分  課題60分

第11回
資料配布
課題:演習問題11
予習60分  課題60分

第12回
教科書p150~151
資料配布
課題:演習問題12
予習60分  課題60分

第13回
資料配布
課題:演習問題13
予習60分  課題60分

第14回
教科書p85~86
資料配布
課題:演習問題14
予習60分  課題60分

第15回
資料配布
課題:演習問題15
予習60分  課題60分

授業の運営方法 通常教室での座学。
毎回授業内容に関する演習問題を課します。必ず期限までに提出して下さい。
備考
学生が達成すべき到達目標 安定構造と不安定構造、静定構造と不静定構造の違いを理解する。
たわみ角法の基本式・実用式を理解し、応用できる。
各種構造の特徴を理解し、たわみ角法を応用し、解くことができる。
固定法の計算手順を修得し、応用できる。
評価方法 評価の割合 評価の実施方法と注意点
試験 55 毎回の講義の内容を理解できているかを確認します。計算問題は、正解するだけでなく、解答に至る過程も重視します。
小テスト
レポート 30
成果発表
作品
その他 15 授業に欠席したり、遅刻・早退せずに、意欲的に取り組んだ場合、評価の対象とします。
合計 100