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シラバス情報
平成24年度
工学部建築学科
詳細
シラバス情報
注)公開用シラバス情報となります。在学生の方は、「
UNIVERSAL PASSPORT
」で詳細をご確認下さい。
科目名
世界建築史(History of World Architecture)
担当教員名
島岡 成治
配当学年
3
開講期
前期
必修・選択区分
選択
単位数
2
履修上の注意または履修条件
特にありません。
受講心得
建築は、自分の目で見て、その時感じたことを言葉にして考えることが大切です。講義の時に見るスクリーン上の写真だけでなく、西洋建築史以外の建築も含め、普段から写真集など、あるいはできれば本物を見ることを勧めます。
教科書
西洋建築史図集(彰国社) 日本建築学会編
西洋建築史概説(彰国社) 森田慶一著
参考文献及び指定図書
西洋建築入門(東海大学出版会) 森田慶一著
ゴシックということ(学芸出版社) 前川道郎著
その他、講義中に適宜指示します。
関連科目
日本建築史、近代建築史、建築設計演習1~4
オフィスアワー
水曜日3限
授業の目的
日本語の「建築」という言葉は、古代ギリシア語に語源をもつ西洋の言葉の訳語といわれています。したがって、西洋における建築の概念は、今日私たちがよい建築とはどのようなものかを考えるとき、とても重要であるといえます。また、西洋の歴史上に見られる数々の建築作品には、すぐれて人間の精神性を象徴するものとして、今日においても学ぶべき多くのことを見いだせます。西洋建築の基本的知識を学ぶことによって、学生自身が建築と建築をつくることについて学び、考えるための具体的手がかりを見いだすことが目的です。
授業の概要
18世紀頃までの西洋の建築を歴史に沿って紹介します。西洋における「建築」の語源から、古代ギリシア建築からはじめ、古代ローマ建築、初期キリスト教建築、ビザンチン建築、ロマネスク建築、ゴシック建築、ルネサンス建築、マニエリスム建築、バロック建築と展開する建築の流れを学ぶことによって、それぞれの時代における建築空間の人間にとっての意味を考えます。
授業計画
学習内容
学習課題(予習・復習)
○第1回 西洋における建築の概念と古典主義
まず、西洋建築を学ぶことの意義を説明します。その後、西洋建築各時代の代表的作品のいくつかを取り上げて、その空間的特質の違いを説明しながら、古典主義という言葉を手がかりに、西洋建築史全体の大きな流れを概説します。
○第2回 古代ギリシア建築
古代ギリシア文化の歴史的背景と造形的特徴についてふれた後、古代ギリシア神殿の基本的形式とオーダーについて説明し、具体的な神殿の造形的特徴について歴史に沿って説明します。特に、アルカイック時代から古典時代へのギリシア彫刻の洗練と比較しながら解説します。また、可能な範囲で劇場など神殿以外の他の建造物についても紹介します。
○第3回 古代ギリシア建築と古代ローマ建築
改めて古代ギリシア建築の造形原理について説明した後、その影響を受けた古代ローマ建築のもつ古代ギリシア的造形と古代ローマ独自の造形的特徴を解説します。そして、神殿を中心に、古代ギリシアと古代ローマの建築の違い、特に構造とオーダーにおける両者の違いを説明します。
○第4回 古代ローマ建築
古代ローマ建築の歴史的変遷を踏まえた上で、フォルム、バシリカ、凱旋門、劇場、住居、宮殿など、神殿以外に華々しく建造された古代ローマ建築を取り上げ、それらの構造、空間的構成、造形特徴などについて解説します。また、古代ローマの都市についても説明します。
○第5回 古代建築についてのまとめ
あらかじめ、古代ギリシア建築と古代ローマ建築についてのレポートを提出してもらいます。その提出されたレポートと毎回の課題の内容をもとに、具体的な建築作品の画像を見ながら、解説と討論会を行います。
○第6回 初期中世の建築
古代ローマにおける初期キリスト教建築とビザンチン建築を取り上げます。初期キリスト教建築においては、有心式とバシリカ式という二つの平面形式の特徴などについて、ビザンチン建築においては、光の建築としてのハギア・ソフィアの成立とその後のイスラム建築への影響などについて説明します。
○第7回 中世ロマネスク建築
プレ・ロマネスクからロマネスクへの歴史的背景、修道院文化の重要性、ロマネスク教会堂の全体的特徴などを説明した後、ロマネスク建築が地域によって異なることを、主にドイツとフランスのロマネスク建築をとりあげて解説します。また、ラテン的特質を失わないイタリア・ロマネスク建築などの空間的特質を説明します。
○第8回 中世ロマネスク建築とゴシック建築
フランスのロマネスク建築、特に、プロバンス地方に見られる「聖なる空虚」としてのシトー派修道院のロマネスク建築について空間的特質を説明します。また、パリ近郊にあるサン・ドニ修道院付属教会堂におけるゴシック建築の成立とその光の建築としての空間的特質を説明します。
○第9回 中世ゴシック建築
フランス・ゴシック建築について、特に初期、盛期、後期と、構造や平面構成やステンドグラスの光の在り方などがどのように変化したか、パリ周辺のイル・ド・フランスでの展開を追います。その後、ドイツ、イギリス、イタリアなどのゴシック建築の特徴を概説します。特に、イタリア・ゴシック建築におけるラテン的特質によって、この地がルネサンスの発祥の地となることを説明します。
○第10回 中世建築のまとめ
あらかじめ、中世ロマネスク建築と中世ゴシック建築についてのレポートを提出してもらいます。その提出されたレポートと毎回の課題の内容をもとに、具体的な建築作品の画像を見ながら、解説と討論会を行います。
○第11回 近世イタリア・初期ルネッサンスの建築
古典再生としてのルネサンス文化誕生の歴史的背景とルネサンス建築の造形の基本的特徴を説明した後、フィレンツェに始まる初期ルネサンス建築を、歴史の流れに沿って紹介し、それぞれについて、その造形的特徴を説明します。
○第12回 近世イタリア・盛期ルネサンスとマニエリスムの建築
フィレンツェ以外の初期ルネサンス建築の広がりから、ローマにおけるブラマンテに代表される盛期ルネサンスの建築、さらにミケランジェロに始まるマニエリスム建築について、歴史の流れに沿って紹介し、それぞれについて、その造形的特徴を説明します。
○第13回 近世イタリア・バロック建築
ミケランジェロに始まるマニエリスム建築からサン・ピエトロ大聖堂に結実するイタリア・バロック建築の造形的特徴を、ヴィニョーラ、パラーディオ、ジュリオ・ロマーノ、ベルニーニ、ボルロミーニなどイタリアの個性的な建築家たちの作品を取り上げ、その空間的特質を説明します。
○第14回 イタリア以外の近世建築
ルネッサンスからバロックにかけて、イギリス、フランス、ドイツ、オーストリアなど北方ヨーロッパの絶対主義王制と結びついて壮大に建設された、それぞれの建築の造形的特徴について、イタリアと比較しながら説明します。
○第15回 近世建築のまとめ
あらかじめ、近世建築についてのレポートを提出してもらいます。その提出されたレポートと毎回の課題の内容をもとに、具体的な建築作品の画像を見ながら、解説と討論会を行います。また、西洋建築全体についてのまとめも行います。
○第16回 期末試験
80分、小論形式。
ノート及び講義中に配布した資料は持ち込み可。
自分の学んだこと、感じたこと、考えたことをきちんと自分の言葉で書くことが大切です。
第1回
配付資料
復習課題 60分
第2回
配付資料
教科書p10-14
復習課題 60分
第3回
配付資料
教科書p15-18
復習課題 60分
第4回
配付資料
教科書p19-24
復習課題 60分
第5回
予習課題 60分
第6回
配付資料
教科書p25-30
復習課題 60分
第7回
配付資料
教科書p32-36
復習課題 60分
第8回
配付資料
教科書p37-40
復習課題 60分
第9回
配付資料
教科書p41-47
復習課題 60分
第10回
予習課題 60分
第11回
配付資料
教科書p50-52
復習課題 60分
第12回
配付資料
教科書p53-55
復習課題 60分
第13回
配付資料
教科書p56,62-65
復習課題 60分
第14回
配付資料
教科書p57-61,66-73
復習課題 60分
第15回
予習課題 60分
授業の運営方法
講義形式です。スクリーン上の映像を見ながら解説します。ただし、第5回目、10回目、15回目のレポートに対する解説では、学生からの意見を聞きたいと思います。積極的な発言を期待します。教室の座席を指定します。
備考
学生が達成すべき到達目標
①近代化の中で、日本が多くのことを学んだ西洋建築史の大まかな流れを知ること。
②それぞれの時代の代表的な建築を知ること。
③図や画像を通して、それぞれの時代の代表的な建築空間に触れること。
④「建築」とは人間にとってどうような意味を持っていたか、考えること。
評価方法
評価の割合
評価の実施方法と注意点
試験
55
知識として知っていることも大切ですが、西洋の建築を学んで、何を感じ、考えたかがより重要です。そのことを自分の言葉で表してみましょう。
小テスト
レポート
30
成果発表
作品
その他
15
授業に対し、遅刻・早退せずに着実に意欲的に取り組んだ場合、評価の対象とします。
合計
100
―