NBU日本文理大学

HITOKOE magHITOKOE mag

インタビュー

建築士として、妻として、母として。
お客さまに寄り添う女性目線の住宅提案を

未来の世代につなげたい良質で資産価値の高い住環境づくりを目指し、注文住宅や分譲住宅、賃貸住宅などを展開する西日本グッドパートナー株式会社。注文住宅事業部「西日本ホーム」で設計士として働く安部 有梨花さんは、NBU建築学科の卒業生。大学での学びを活かし、合格率15%と難易度の高い一級建築士の資格を取得し、多くの住宅設計に携わってきました。現在、第一子の出産を控える彼女に、これまでの経歴や仕事に対する想い、女性建築家として感じること、今後のビジョンなどを伺いました。何を考え、どうアクションしたのか…、そのリアルヒストリーに迫ります。

西日本ホーム 設計部
一級建築士/インテリアコーディネーター
安部 有梨花さん
ABE YUKARI

鹿児島県霧島市出身。県立加治木工業高校建築科卒業後、日本文理大学工学部建築学科に入学。2014年3月に卒業後、トータルハウジング株式会社に入社。その後、NBU建築学科技術員、後藤建築設計事務所などを経て、現在は、西日本ホーム設計部で設計士として働く。お客さまの想いやニーズをしっかりヒアリングし、一人ひとりにマッチするプランの提案を目指す。

お客さまの幸せをカタチにする
住宅設計の楽しさに魅了されて。

現在は設計部で住宅設計や、お客さまへ設計プランの提案を行っています。もともと鹿児島県出身で、大学入学のタイミングで大分へ。大学に入学したばかりの頃は内向的な性格でした。当時、建築学科には留学生を除いて女性は私一人。積極的に自分からコミュニケーションを取るよう意識していたこともあり、教授や職員の方々も皆気にかけてくれ、充実した大学生活を送ることができたと思っています。西村研究室に所属し、設計に関する研究に取り組んでいました。戸建てタイプの集合住宅が流行していた当時、一軒一軒が孤立しているので住民同士のコミュニケーションが希薄になりがちな住宅に、コミュニティスペースを作り、各戸のつながりを生み出す提案を行いました。

大学で住宅設計について深く学び、卒業後は鹿児島県内の住宅建築をメインで扱っているハウスメーカーに就職しました。4年間働き、結婚に伴い退職、大分へ戻ってくることになりました。結婚後しばらくNBUで建築学科の技術員として働いた後、豊後大野市にある設計事務所へ入社。公共工事専門の企業だったのですが、お客さんの想いを直接お聞きし、理想の住まいを一緒に作り上げていく住宅建築に携わりたいとの気持ちから、西日本ホームへ転職しました。

西日本ホームは、太陽の光や熱、風といった自然エネルギーを利用した設計技術を取り入れるパッシブデザインに注力しています。「夏の暑い日差しは遮蔽しながら、冬の温かい光を取り入れるには?」と、いかにエアコンに頼らず過ごしやすい家を創造するかを重視しています。また、MUJI HOUSEが展開する「無印良品の家」の販売代理も行っています。

特に印象的だったのは、当社でお家を建てたママに、実際に暮らしてみた感想を聞いてモデルハウスや分譲住宅などの商品開発を行う「MAMA Lab. -ママ目線のあったらいいな♪2度目の家づくり-」のプロジェクトに参加したことです。ママたちとの座談会で挙がったさまざまなアイデアや意見を反映し、母親目線の“理想の家づくり”を追求することができました。西日本ホームに入社して一年弱ですが、これまで15棟ほどの設計に携わりました。

仕事の原動力はNBUでの実践的な学び。
女性建築士ならではの細やかな提案を。

学生時代は、「地域課題を解決する建築物とは?」「独創的でユニークな建物を作りたい」という想いのもと、研究室で議論しあいながら皆で製作する毎日でした。チームで一丸となって、ひとつのものを作り上げる楽しさが忘れられず、それが仕事の原動力になっています。また、NBUで学んだ“自分で考え、行動を起こす大切さ”は社会に出てからもひしひしと実感しています。

2021年12月、念願の一級建築士の資格を取得しました。一級と二級では、設計できる建物の規模と構造に違いがあります。二級建築士が設計できる建築物は、一般的な戸建て住宅など小規模なものに限られますが、一級建築士の場合、建物の構造や面積に制限がなく、さまざまな建築物の工事に携わることができます。私は戸建て住宅の設計がメインなので、二級建築士でも問題はありませんが、一級建築士の方がお客さまの安心感や信頼感も大きいように感じます。ようやく一人前の設計士として一歩を踏み出せた気がします。

SDGsが謳われ、多様性が重視されるようになってきた今、建設・不動産業界でも女性活躍を推進し、働きやすい環境を整えている企業が増えてきました。弊社も、子育て中の社員が在籍しています。産休・育休制度も整っていますし、子どもの行事などに合わせて休みを調整する際には、チームでフォローしあいながら様々なプロジェクトに取り組んでいます。

現在、設計部は10人で構成され、そのうち女性は3人です。一級建築士の資格を持つ女性は私だけ。業界全体を見ても、まだまだ一級建築士の女性設計士は少ないようです。そのせいもあって、まだまだ建設・不動産業界は男性社会というイメージが根強いのではないでしょうか。私は、もともと工業高校を卒業し、建設・不動産業界に就職する予定でした。しかし、12年前私が高校を卒業した当時は、女性が応募できる求人票は1枚もありませんでした。

子育てや家事を担う女性が過ごしやすい家を作るには、女性スタッフの意見は欠かせません。家事動線や子育てのことを理解し、お客様の理想を叶えるベストな間取りや空間をご提案できるのも女性の強みだと感じています。

デジタル時代を生き抜くヒントとは。
自身の成長を糧に復帰を目指したい。

さまざまな業界でDXが推進され、建設・不動産業界でもデジタル技術が利活用されています。設計段階から日照条件の分析・シミュレーションができるようになり、確かなデータに基づいた提案が可能になりました。また、コロナ禍を受けてお客さまへの提案のスタイルが変化しました。オンラインミーティングツールを活用しての打ち合わせや、ショールームに来店しなくても内覧できるオンライン見学会などを実施しています。WEBでの打ち合わせでは、図面や資料を画面で共有しながらの説明を行うのですが、直接お会いできなくてもお客さまが楽しく家づくりをするための提案を行っています。

学生の頃は、授業や研究、課外活動に追われて大変かもしれません。しかし、多くの人と出会い、関わる中で、今のデジタル時代に役立つヒントやアイデアが見つかります。積極的に人と触れ合い、さまざまな経験を通してたくさんの刺激を受けることが大切です。そうすることで自分の世界を広げることができるのではないでしょうか。

これから、出産、育児で1年ほど現場を離れますが、復帰後は仕事と家事、育児を両立しながら設計の仕事を続けていきたいと思っています。出産という大きなライフイベントを経験し、よりお客さまのリアルな悩みや困りごとに寄り添い、より具体的な暮らしの提案ができるはず。ひと回り成長した女性建築士として現場復帰を目指します。

KEY WORD

西日本ホーム・一級建築士・女性活躍・設計士・SDGs・MAMA Lab.