臨床工学技士養成
医療の先端技術で、生命をつなぐエンジニア。
臨床工学技士は、医師の指示のもと、人工呼吸器や人工心肺装置、血液浄化装置などの生命維持管理装置の操作や医療機器全般の保守・点検を行う、生命をつなぐエンジニアです。今後、さらに高度化する医療機器の安全確保と有効性を維持する担い手としてチーム医療に欠かせない存在になっています。また、現代医療において求められる医療機器に関する高度な知識と技術、さらには冷静かつ正確な判断力を武器に、産業界での活躍も期待されています。
01 今、最も注目される新しい医療系国家資格
1987年に誕生した医療分野の国家資格です。医療の最前線では、高度化・デジタル化などに対応できる人材が求められています。2010年以降は、医療行為の一部を臨床工学技士が行うようになり、チーム医療の中で、その重要性がさらに増しました。病院を中心にニーズは高まり、臨床工学技士の未来は広がっています。
02 医学と工学をつなぎ広がる活躍の場
高度医療と医療安全を一体化しながら、医療機器を扱うスペシャリストとして生命維持管理装置やペースメーカー、AIを駆使したロボット支援手術にも携わります。医学と工学の知識を修得し、さらにその知識を結びつけることで、活躍するフィールドは広がります。
03 様々な専門領域で不可欠な医療技術者
専門性を選べる点も臨床工学技士の魅力のひとつ。循環器内科で心臓カテーテル治療に携わったり、集中治療科で人工呼吸器やECMOを用いたり、自分に合った専門分野で活躍できます。様々な経験を積み、心臓血管外科で人工心肺装置の業務にあたるなど、キャリアアップを目指せます。
ハイレベルな学びを通して 医療の未来を支える人材へ
深浦 時郎 (2年) 大分県/県立大分鶴崎高等学校 出身
身近な人が人工透析と人工呼吸療法を受けていて、臨床工学技士はこれからの社会に必要な仕事だと感じていました。姉が保健医療学部の前身である医療専門学校の卒業生ということもあり、専門学校時代のサポートの手厚さは知っていました。本コースでは先端医療を研究テーマに掲げる先生が多く、医療の未来を考えることも増えてきました。感染症の流行や健康志向の高まりから、免疫の分野に興味を持ち、将来の選択肢として研究者への道も考えています。授業はもちろん、放課後もアルバイトをしたりと、充実した大学生活を過ごしています。
幅広い教養を身につけるとともに、医療人として必要な基礎知識を学ぶ
人体の構造及び機能
臨床工学に必要な医学的基礎
キャリアデザイン
医学的知識と理工学的知識を修得し、医療機器の原理について学ぶ
臨床工学に必要な理工学的基礎
臨床工学に必要な医療情報技術とシステム工学の基礎
医用生体工学
医用機器及び臨床支援技術学
医療安全管理学
関連臨床医学
医療機器の操作や安全に管理する方法について学ぶ
生体機能代行技術学
実践的な医療機器の運用と医療産業人として活躍するための未来医療を考える
臨床医工学
実践的な能力を身につける臨床実習
3コース共通科目
内視鏡検査・治療をはじめ、心臓血管カテーテル検査・治療など、臨床支援技術に関連する医工学的な知識を修得します。最新のVR機器を活用し、カテーテルやワイヤー操作、X線画像撮影などのシミュレーションも実施。臨床現場での様々な状況を想定した演習により、技術の修得だけでなく、緊急時の対応能力も養われます。
循環器領域や移植医療、その他の外科手術領域での機械的循環・呼吸補助を理解します。先天性心疾患、急性呼吸不全、心肺肝移植など各症例に応じた体外循環法を学び、低侵襲を目的とした手術法や機器管理の知識を身につけます。体外循環装置や構成物品の構造を理解し、安全かつ効果的な臨床運用を目指します。
臨床医工学分野の臨床および研究開発における最新の人工臓器について学びます。医学的知識と工学的知識を融合した新たな人工呼吸器の研究や開発について修得し、未来の人工臓器を考える能力を育成。図表を多用しながら、臓器が生体に与える影響などを学び、今後の改良点について議論し、理解を深めていきます。
科学的知見と、規制などの行政施策・措置との間の橋渡しとなる科学「レギュラトリーサイエンス」の知識を修得します。医療機器の品質や有効性、安全性のための研究、試験法の開発について学びます。先端医療技術、最新医療機器などの品質や安全性、有効性に対する基準、関連法規、手法を理解していきます。
世界で培った経験と知識で未来のための研究を
教授 伊藤 英史
先天性心疾患を持つ子どもたちを救うため、国内をはじめアメリカの臨床現場で尽力してきました。政府や投資家、様々な企業の協力のもと、同じ想いを共に持つ医師や医療スタッフとチームを組んで、革新的な技術を世界各国に伝導する「MissionTrip」という社会貢献活動に従事。現在は、臨床経験を生かしながら、幼い頃からの“より多くの子どもたちの命を救う”という使命感を胸に、機械的呼吸、循環補助システム(ECMO/人工心臓/人工肺)に関する研究を続けています。
医療の未来を切り拓く医工連携の研究開発
准教授 宮﨑 仁
情報工学を活用して医療や福祉を支援する研究に取り組んでいます。福祉分野では、ソフトウェア工学の立場から、自閉スペクトラム症などの感覚特性をもつ子どもとその家族を支援する感覚特性サポートアプリ「YOUSAY」(2023年7月)をリリースしました。また医療分野では、メガネ型のウェアラブル端末であるスマートグラスを利用して、人工心肺装置の複雑な術前操作を支援し、新人教育としても活用できるシステムを開発しています。AIやVRを活用して、医工学の可能性を広げるべく探究しています。
保健医療学部
保健医療学部パンフレット(デジタル版)