臨床検査技師養成
検査データを追究し、生命を救うプロフェッショナル。
臨床検査技師は医師の指示のもと、生体から採取された材料(血液、尿、組織、細胞など)の検体検査、超音波診断装置や心電計を用いた生理学的検査を行います。検査によって得られた科学的な分析データは、病気の診断・治療方針の決定、病気の早期発見・予防に役立てられます。病気の原因や状態を解明するには、高度な知識・検査技術と分析力が必要です。製薬会社では試薬開発研究業務、行政機関では公衆衛生業務に携わるなど、多くの場面で活躍しています。
01 「検査」のスペシャリストを目指せる
患者さんの血液や尿、細胞などを分析・診断する検体検査や、医療機器で心臓や肺、脳、各種臓器の機能や状態を調べる生理学的検査など検査分野は多岐にわたります。細胞検査士や超音波検査士といった各検査領域の認定資格を取得することで、スキルアップを図り、専門性を高めていきます。
02 コロナ禍を支え続けた臨床検査技師
検体採取からPCR検査まで、他の医療スタッフ同様にコロナ禍の社会を支え続けました。PCR検査に代表される遺伝子・染色体検査は、様々な疾患の診断にも用いられます。医療の進歩とともに検査技術も高度化しており、それを支えているのが臨床検査技師です。
03 チーム医療の中で重要な役割を担う
現在の医療では、複数の医療専門職が連携して患者さんの治療にあたるチーム医療が基本です。臨床検査技師として感染制御や栄養サポート、糖尿病療養指導などのチームに参画し、医師の判断の支援となる助言を行うなど、診療に積極的に携わることが求められています。
いち早く病変を発見する 検査のプロを目指して
月足 早希 (2年) 鹿児島県/県立伊集院高等学校 出身
もともと理科の実験が好きだったことや、母親が病院に勤めていることから、病院内で様々な検査・分析を担う臨床検査技師を目指すようになりました。特に、がんの発見を担う「病理」の分野に興味があり、細胞の正常・異常の見分け方といった専門知識を身につけるため、日々、授業に集中しています。授業の空き時間は、学内のカフェやLCMセンターにあるレストスペースで友人とおしゃべりしたり、メリハリのあるキャンパスライフを送っています。充実した学内施設に加え、スクールバスや周辺の利便性も高いので、勉強に専念できる環境だと思っています。
幅広い教養を身につけるとともに、医療人として必要な基礎知識を学ぶ
人体の構造及び機能
臨床検査の基礎とその疾病との関連
生理学的検査
キャリアデザイン
臨床検査技師として必要な基本的知識と技術を学ぶ
保健医療福祉と臨床検査
医療工学及び医療情報
病態学
血液学的検査
輸血・移植検査学
病理学的検査
尿・糞便等一般検査
生化学的検査・免疫学的検査
遺伝子関連・染色体検査
微生物学的検査
臨床検査の現場を実際に経験する上で必要な専門知識と技術を系統的に学ぶ
臨床検査総合管理
医療安全管理
実践的な能力を身につける臨地実習
医療の発展に寄与できる問題解決能力を育て、研究の重要性を通して臨床検査分野の役割を学ぶ
臨床検査医学
3コース共通科目
生理検査は、循環器生理学、呼吸生理学、脳神経生理学など多岐にわたります。特に、心電図検査や呼吸機能検査は、診断や術前検査に必要不可欠です。循環生理と心臓の電気生理の基礎を学んだ上で、心電図の原理と記録方法を修得します。検査の原理、方法、根拠を多面的に理解するための実践教育が特色です。
生体分析を行う際に不可欠な生体試料中の取り扱いや、各種測定法の理論、単位などの基礎を学修します。臨床化学分析法の原理と特徴を学び、検体の取り扱い方法や保存条件が分析に大きく影響することを認識し、基準範囲の設定や疾患による変動を理解します。データを判読する知識と考える力の体得を目指します。
細胞診断における適切な固定方法や、パパニコロウ染色やギムザ染色、特殊染色、免疫細胞化学染色などの診断に必要な各種染色法の方法・理論への理解を深めます。細胞診断を正確に行うため、正常細胞や感染症、がん細胞といった病変の細胞形態学的特徴を理解し、基本的な細胞所見について学修します。
健康維持のために重要な免疫反応のメカニズムを理解し、免疫反応が関係する感染症、アレルギー、免疫不全といった各種疾患とそれらの診断・治療のために必要とされる免疫学的検査法を修得します。また、使用する検体の扱い方や保存法、検査データの精度管理法、得られた検査結果と臨床的意義などについても学びます。
知識を社会へ還元研究者としての使命
教授 松井 智浩
脳障害が起こった際に脳温を32~34℃まで冷やして神経細胞の壊死を防ぐことで脳を保護する「脳低温療法」の研究に取り組んでいます。脳に重度の損傷を受けた患者の回復を目指す治療法であり、特に、新生児の低酸素性虚血性脳症に対しては、神経学的予後の改善に有効な唯一の治療法です。研究を続けるなかで強く感じたのは論文にして発表しなければ、ただの知識だけで終わってしまうこと。日夜研鑽を積む中で得た発見や解釈を社会にアウトプットすることが研究者としての私の役目です。
細胞生物学技術の研究で病変の早期発見を目指す
准教授 政元 いずみ
以前は、大学病院などの医療現場で臨床検査技師として勤務していました。血液検査学や免疫学を専門とし、主な業務は造血器腫瘍の診断に役立てる「フローサイトメトリー解析」でした。この解析は一般に広く活用され、レーザーを利用して不均一な混合液中の細胞を計数、選別、および特性解析するための細胞生物学技術で、迅速かつ同時に複数のパラメーター分析が可能です。現在は、このフローサイトメトリー法を用いて、骨髄細胞の比較を行うことで、病変の早期発見につながる研究を推進しています。
保健医療学部
保健医療学部パンフレット(デジタル版)